「中古マンションを買うときの仲介手数料って、相場はどれくらいなのだろうか」
「“仲介手数料無料”というのも聞くがどういうこと?損をしないか心配だ…」
不動産を買うという際はいろいろな不安が出てくるでしょう。とくに、仲介手数料に関しては仕組みが複雑なので、不安になる方も多いと思います。
結論、仲介手数料は無料になる場合もありますが、それだけを追い求めるとかえって損することがあります。
筆者は、不動産業界で5年間勤め、中古マンションの仲介や販売の取引を数多く経験してきました。仲介手数料が発生する場合も、“無料”になる場合もどちらも経験しています。忖度なく公平に解説していきます。
この記事を読むことで、中古マンションを購入する際の仲介手数料の計算方法と無料になる仕組みがわかります。それらを踏まえて、どう判断していけば良いかが考えられるようになります。
中古マンションを購入する際にかかる仲介手数料
中古マンションを購入する際、不動産仲介業者に物件を紹介してもらった場合は、仲介手数料を支払わなくてはなりません。
その仕組みと計算方法を解説します。
仲介手数料がかかる場合
「中古マンションを買いたい」と思ったときに、多くの人がウェブサイトで希望の物件を検索します。そこには、たくさんの物件が掲載されていて、問い合わせをすると不動産業者の担当から電話がかかってきます。その不動産業者のほとんどが、仲介業者と呼ばれる会社です。
その業者に紹介された物件を購入すると、彼らには仲介手数料を支払わなくてはなりません。つまり、仲介手数料は「不動産仲介業者を通して取引した際にかかる手数料」ということです。
仲介手数料の計算方法(上限額)
物件価格( a ) | 仲介手数料率(消費税別) |
---|---|
200万円未満 | a ×5.0% |
200万円超~400万円以下 | a ×4.0%+2万円 |
400万円超 | a ×3.0%+6万円 |
上記の計算式にあてはめて算出された金額が仲介手数料です。それに、消費税を足した金額を支払うことになります。
具体例を見てみましょう。
・物件価格:3,500万円
(3,500×0.03+6)×1.1※=122.1(万円)⇒仲介手数料は、122万1千円です。
※2022年9月現在の消費税率です。
このように計算することができます。
仲介手数料が“無料”になる場合
“仲介手数料無料”になるケースは、大きく分けて二通りあります。
「そもそも仲介業者が介入しないため、仲介手数料が不要」という場合と、「仲介業者から紹介された物件を買うが、その仲介業者が値引きをしてくれて0円になった」場合です。
それぞれくわしく見ていきましょう。
仲介手数料がそもそもかからないとき
仲介手数料がそもそもかからない場合は、さらに二分されます。「新築マンションの購入」もしくは「売主が不動産業者の物件を直接購入する」場合です。
それぞれ解説していきます。
新築マンションを購入する
新築マンションは売主がそのマンションを分譲している不動産業者のため、仲介手数料はかかりません。分譲会社は仲介手数料ではなく、その一室を販売することによって売却益を得ています。
注意点としては、新築マンションの購入でも、仲介業者を間に挟んで購入を進める場合は手数料がかかります。
例としては、「はじめは、中古マンションを探していたけれども、仲介業者が紹介してきた新築マンションが気に入ったのでその物件に決めた」などです。
他にも、分譲会社から別の会社や個人が物件を購入し、その部屋に住まわずに売却に出しているケースがあります。このような物件は中古と同様、仲介業者経由で紹介されることが多いです。物件を購入する際は、仲介手数料がかかります。
<ポイント>
■新築の定義
「新築住宅とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して1年を経過したものを除く)」
このように国土交通省が法律の中で記載しています。
簡単にいうと、
・建築した後、誰も入居したことがない
・建築した後1年未満の物件
以上の二つの条件を満たす物件ということです。出典:「住宅の品質確保の促進等に関する法律 第2条(定義)第2項」
中古でも、不動産会社が持つ物件を直接購入する
中古マンションの中には、一般の方が売却に出されているものに加え、プロの不動産業者が販売に出しているケースもあります。
特に「リフォーム済み」「リノベーション済み」などの表記がある物件に関しては、そのほとんどが「不動産業者が買い取って再販にかけている物件」です。
このような物件を、その不動産業者から直接購入する際は仲介手数料がかかりません。しかし、これらも仲介業者からの紹介で買うとなると、その仲介業者に仲介手数料を支払わなくてはなりません。
仲介業者が両手取引を行って買主側の手数料を値引きしたとき
繰り返すようですが、仲介業者から物件を購入する際は、仲介手数料を支払わなくてはなりません。
しかし、その仲介業者が「値引きをする」といった場合はどうなのでしょうか。
結論、その値引きは受けても問題ありません。先の表で説明した計算式は、あくまでも上限額です。仲介業者が「値引きする、無料にしてあげる」といった場合には、その提案を受けても何も問題ありません。
では、どういったときにそのような提案があるのでしょうか?見ていきましょう。
片手取引と両手取引
仲介業者が不動産取引を行う場合、次の二通りがあります。
・片手取引
・両手取引
この両手取引の際に、“仲介手数料無料”の提案を受けられる可能性があります。
なぜ“仲介手数料無料”になるのか
仲介業者も営利企業です。取引を成約させたいという思いは常にあります。
そこで、売主側の媒介契約を持っている物件では、金額の面で話がまとまらない場合、買主側の仲介手数料を値引いて話を進めるようにします。この過程で、購入する際の仲介手数料が無料になることがあります。
しかし、ここで一つ注意点を紹介しておきましょう。
「“仲介手数料無料”にします!」と始めからその部分をアピールしている仲介業者は注意した方がいいかもしれません。
なぜなら、自社の媒介物件のみを紹介する会社だからです。片手取引で“仲介手数料”にしてしまっては、ボランティアになってしまいます。
そこで、自社の媒介物件から選んでもらうように営業活動をするのです。
この場合、買主からすれば、極端に選べる物件の数が減ってしまうデメリットがあります。
けれども、その紹介された物件の中で、自分の望む物件に出会うことができれば、手数料がかからない分、それはお得です。なので、一概には悪とはいえません。
自分で条件をしっかり確認して、それが納得のできる取引かどうか慎重に考えましょう。
まとめ
仲介手数料の算出方法と、それがなぜ無料になることがあるのかは理解できましたでしょうか。この仕組みを理解した上で、実際にプロの不動産業者に話を聞いてみましょう。
まったくの無知で話を聞くのでは受け身になってしまいがちですが、それでは不動産業者の担当者にすべての判断を任せてしまうような形になりかねません。しかし、それでは後々後悔するような結果を招く危険性があります。自身で判断するという意識をもちましょう。
担当者はもちろん不動産のプロなので、専門的な知識や取引の経験を持ち合わせています。そんな彼らの経験や知識を借りて、自身の望むベストな中古マンションを探しましょう。