最近になって、ニュース番組や書店などで目にすることが増えた「地政学」という言葉。
地政学とは、各国の軍事的/政治的な影響を地理的な目線でアプローチする学問のことで、日本では近年まであまり馴染みのないものでした。
国家の戦略を考える上で非常に重要な地政学の考え方は、私たち個人が自身の生活やビジネス/仕事について考える上でもかなり有用です。
そんな地政学ですが、地政学を全く知らない初心者の方からすると、いざ学ぼうと思っても「何から始めれば良いか分からない」という状況になるかもしれません。
そこで今回は、初心者の方が地政学を学ぶ上でおすすめ地政学入門書をランキング形式でご紹介していきたいと思います。
そもそも地政学とは何か?
地政学とは、地理的な環境が国家に及ぼす影響を研究する学問で、地政学という用語は、地理と政治の二つの言葉から来ています。「日本」に当てはめて説明しましょう。
日本は海に囲まれており、7割が山地という国土を持っています。
海を隔ててユーラシア大陸があり、ロシアや中国、韓国、北朝鮮といった国があり、これが「日本の地理的な環境」です。
そして、この「日本の地理的な環境」が日本の政治、軍事、経済にどんな影響を及ぼすかを研究するのがこの地政学という学問なのです。
日本が江戸時代末期に開国したことを例に挙げてご紹介すると、ペリー来航の目的は太平洋のどこかに補給拠点を作ることでした。
そこで、地理的に都合の良い位置にある日本という国に白羽の矢が立ったのです。
この事例においても、「日本の地理的な環境」が大きく影響しています。
地政学入門本ランキング
【11位】地政学入門 改版 外交戦略の政治学
日本の政治学者、外交史研究家で2006年に亡くなった曽村保信氏による、地政学史について解説された地政学書。
地政学とは何かについての初心者向けの解説はなく、世界史の知識がないと理解がしづらいが、地政学の開祖と言われるマッキンダーを始めとした現代の地政学の代表者たちの考え方を地政学史と共に紹介してくれている。
【10位】新しい地政学
独立行政法人国際協力機構JICAの理事長で国連大使や国際大学学長なども歴任した北岡伸一氏と、国際政治学・外交史が専門で慶應義塾大学法学部教授の細谷雄一氏を始めとした、国際政治における各分野の有識者たちによる共著。
各執筆者が各章ごとに、「新しい地政学」を題材とした国際秩序の変化をそれぞれの角度から惜しみなく解説しています。
一方で、全くの初心者に寄せた内容とは言いづらく、専門性もあり分かりやすい地図などもないため、学術的な本が好きな方や自身である程度調べながら読み進めることのできる方におすすめです。
【9位】教養としての「地政学」入門
ライフネット生命保険株式会社の創業者である出口治明氏による、初心者のためにわかりやすく地政学の概要をまとめた一冊。
出口氏はこれまでにも数々の書籍を出版しており、専門的な内容が苦手で地政学とは何かを簡単に知りたいような方におすすめの書籍となっています。
【8位】日本人が知るべき東アジアの地政学
駿台予備学校、ネット配信のN予備校で大学入試の世界史を教えながら、YouTube「もぎせかチャンネル」でニュースや歴史について発信中の茂木誠氏による一冊。
地政学の基礎的な考え方から、日本・アメリカ・中国・韓国・北朝鮮・ロシアのそれぞれの国家戦略について、国家の思想や国民性を踏まえながら、初心者にも分かりやすく解説しています。
【7位】世界史で学べ!地政学
「日本人が知るべき東アジアの地政学」と同じ茂木誠氏による、世界史好きのための地政学入門書。
世界史を地政学的な視点から分かりやすく解説してくれており、特に「世界史が好きで、地政学にも触れてみたい」という方におすすめ。
【6位】コロナ後の世界的ビジネス教養がゼロからわかる! 地政学見るだけノート
お馴染みの見るだけノートシリーズの地政学バージョンです。
著者は世界史講師でYouTube「神野ちゃんねる」で話題の神野正史氏。書籍やTV/ラジオの出演、講演や連載など多方面で活躍されています。
こちらも初心者向けに図解を用いて分かりやすく解説してくれていますので初心者におすすめです。ポスト・コロナの状況も踏まえて解説してくれているのが良いですね。
【5位】日本の地政学
国際関係アナリストで、ロシアの外交官養成機関「モスクワ国際関係大学」の政治学修士で卒業した経歴を持つ北野幸伯氏による、日本人が知っておくべき“日本の地政学”について解説された一冊。
日本の過去の歴史や今後の世界で起こることを地政学的視点で解説しながら、日本がこれから取るべき戦略について、その指針や道筋が紹介されています。
地政学についてはもちろん、教養として日本人が知っておくべき日本の地政学を学ぶにはかなりおすすめ。
【4位】世界のニュースがわかる!図解地政学入門
大蔵省理財局資金企画室長やプリンストン大学客員研究員、内閣府参事官、内閣参事官などを歴任した髙橋洋一氏の入門シリーズより地政学ついての入門書。
過去の歴史を遡り、地政学の視点からなぜそのような出来事が起きたのか、主に軍事的歴史を中心に解説されています。
同シリーズでは地政学の他にも「経済学」「会計学」などの入門書も出版されています。
【3位】戦略の地政学 ランドパワーVSシーパワー
「地政学とはいったい何か」「世界中の大国が地政学をどのように利用しているのか」などについて地政学の歴史などにも触れながら、かなり詳しく解説してくれている地政学入門書。
初心者にも分かりやすいよう各内容について簡潔に述べられているが、内容は浅くなることはなく地政学の深いところまでしっかり学ぶことができる。
著者は、英国王立防衛安全保障研究所アジア本部所長でNHK入局以来、30年以上にわたって軍事・安全保障専門の国際記者、解説委員を務めた秋元千明氏。
【2位】最強兵器としての地政学
国際政治や戦略的な視点から、現代の地政学について戦略的な内容を初心者でも分かりやすく解説した地政学の教科書とも言える本書。
日本が直面している問題について様々な角度から解説されており、外交や国際政治に関わる方だけでなく、戦略的視点やしっかりとしたビジネス教養を身につけたい方にもおすすめです。
著者は、国際問題アナリストや政治学者として活動しYoutuberとしても活動している、株式会社ケンブリッジ・フォーキャスト・グループ・オブ・ジャパン代表取締役の藤井厳喜氏。
【1位】サクッとわかるビジネス教養 「地政学」
この本の著者である奥山氏は防衛省の幹部候補生に地政学を教えた経験があるほどの有識者で、奥山氏は自身のブログやYoutubeなどで戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析したコンテンツを情報を発信しています。
この本は初心者でも分かりやすいようにイラスト解説がメインになっているため、特別なイラスト図解を見ながら、イラスト周辺の文字を読むだけで、地政学や世界情勢の基本的な知識を学ぶことができます。
【まとめ】地政学は本で勉強するのがベスト!
いかがでしたでしょうか?
今回は初心者におすすめの地政学入門書についてランキング形式でご紹介しました。
日本ではまだ地政学という言葉があまり知られておらず、地政学についての書籍は他の分野に比べるとまだ少ないですが、現時点でも日本の有識者によって少しずつ新しい書籍が出版されていますので、ぜひ書店などで探してみてください。
本記事で紹介したランキングは当記事の著者による個人的な意見に基づいたものですので、本記事は参考としてお読みいただき、読者の皆様には自身で様々な地政学の書籍に目を通していただけますと幸いです。