皆さんは「駅やバス停からの移動をもっと楽にできないか」と思うことはないでしょうか? 街中にあって、駅から徒歩数十分のお店に移動するのは、意外と大変ですよね。
また昨今、新型コロナウイルス感染症の拡大で、三密を回避した移動手段に注目が集まるようになりました。その解決策の一つとして、電動マイクロモビリティによる短距離移動のインフラ構築を目指しているのが「LUUP」というサービスです。
この記事では、LUUPの特徴や使い方、料金、そして同業他社との比較についてご紹介します。
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LUUPとは
LUUPとは、2020年にスタートした、小型一人乗り電動マイクロモビリティのシェアリングサービスです。街中に置かれたLUUPのモビリティに、自由に乗ることができ、好きな場所に返却することができます。株式会社Luupによって提供されています。
同社は、道路交通法や道路運送車両法などのマイクロモビリティへの規制が厳しい日本で、本気で電動キックボードを普及させたいと考えているスタートアップ企業ですが、その第一歩として身近な電動アシスト自転車からサービスを開始しています。
現在は、渋谷・新宿・六本木(赤坂/虎ノ門)・大阪キタ・ミナミの5エリアで展開されており、シェアリングサイクルを借りたり返却したりする「ポート」の数は、200を超えました。
LUUPは「21世紀のJR」になる!?
また、並行して4億5,000万円の資金調達から、日本初となる電動キックボードの公道走行実証を開始しています。
原付扱いで免許やナンバープレート、車道走行が必須である電動キックボードを、産業競争力強化法に基づく新事業特例制度を用いて、特定エリア内における自転車レーンでの走行を緩和。この実証によって、安全性と利便性を満たす条件を探り、将来の規制緩和と事業化に繋げる狙いです。
さらにLUUPは、単なるシェアリングサービスではなく、短距離移動の利便性を高めることによって、駅から遠く価値が低いと見なされていた飲食店や不動産の価値を適正化し、街自体の価値や魅力の向上を狙うと共に、日本全国へポート設置していくことで「21世紀のJR」となるサービスを目指しています。
LUUPの特徴
国内最小クラスの電動アシスト自転車
LUUPのシェアリングモビリティは現在、全て小型の電動アシスト自転車です。LUUPでは、国内最小クラスの電動アシスト自転車を開発することで、個人経営の小さな店舗でも、自動販売機ほどのデッドスペースがあれば、ポートとして活かせるようにしています。
例えば、マンションの入り口にポートを設置すれば、入居者の利便性が大きく向上します。またカフェやコインランドリー、レストランなどの店先にポートを設置すると、店舗立地が不便であっても送客が狙えるようになります。
街中を駅前にする
「電車やバスを降りたあと、いかに楽に移動できるか」という視点から、LUUPは半径2km のエリアに70個ものポートを密集して設置。徒歩では15~20分かかるような場所を、電動アシスト自転車での時間短縮によってハードルを下げ、「街中を駅前にする」という狙いです。
軽くて快適な電動アシスト自転車
LUUPの電動アシスト自転車は、快適さと安全性、そして走行の軽さを考慮して設計されています。そのため、最高速度は抑えられていますが、坂道でもスムーズに走行できるように、馬力(トルク)が高められたセッティングが施されています。
専用アプリで簡単利用
LUUPは、利用者向けにAndroid、iOSのアプリを用意しており、マップでのポートの場所や利用できる台数の確認、自転車の解錠、返却と決済までの一連の手続きを、全てアプリ上で完結できるようにしています。
LUUPは、将来的には電動キックボードや電動アシスト自転車だけではなく、高齢者でも利用できる3~4 輪の新しい電動マイクロモビリティを開発した上で、今あるポートに順次設置して普及を目指しています。
LUUPの使い方
以下の「公式アプリをダウンロード」から、アプリストアでLUUPアプリをダウンロードしましょう。
アプリを開いたら初期設定を進めていきます。
①ポートを見つけてから自転車を選択
まず、街中のLUUPポートを見つけて、乗りたい電動アシスト自転車を選択します。アプリ上では、ポートの場所に加え、現在ポートにある台数や、電池残量も確認できます。
自転車を選択する前には、必ずバッテリーの残量やタイヤの空気圧など、不具合がないかを確認しましょう。自転車の中央にあるランプが赤く点滅している場合は、バッテリーの残量が1~ 29%しかありませんので、長距離を乗る際は、常時点灯している個体を選びましょう。
また、雨の場合も路面が滑りやすいので、注意が必要です。
②自転車のロック解除と目的地の予約
次に、アプリから車体にある「QRコード」をスキャンし、「ライド開始」をタップします。すると、自転車の施錠が自動で解除されますので、次に目的地に近いポートを予約します。
ポートが満車の場合は返却ができませんので、空いていない時は別のポートを目的地として指定します。
③ライドを開始、ポートに返却
目的地の予約が終了したらそのまま電動アシスト自転車に乗り、目的地の近くにあるポートまでライドを楽しみます。
予約したポートに到着したら、自転車を施錠の上、指定の枠内に駐車しアプリの「ライド終了」をタップします。
最後に、駐車した自転車の写真をポート全体が写るように撮影してアプリで送信すると、送信後にそのまま決済も行われます。
LUUPの利用料金
LUUPの支払い方法は、現在のところクレジットカードのみの対応となっており、PayPayなどの電子マネーには非対応です。クレジットカードの情報はアプリ上で登録します。
LUUPの料金体系はシンプルで、ライド基本料金50円(税込)で、時間料金1分あたり15円(税込)が発生する仕組みとなっています。
利用料金 = ライド基本料金50円 + (利用時間 × 時間料金15円)
※ 現在は電動キックボード・自転車とも同金額となっています。
また、LUUPではエリアや期間限定でライド料金がお得になる会員プランを提供している場合があります。詳しくは、公式アプリから利用料金について詳しくみてみてください。
2021年1月からは、ポート以外の好きな場所での乗り捨ても可能となっています。この回収費として別途150円がかかります。
なお、ポートを提供する側の設置費用や維持コストは、共に一切かかりません。ポート設置者には、設置台数と立地に応じて、場所代がLUUPから支払われます。
LUUPの評判
LUUPについて利用者の声を各種SNSで拾ってみると以下のような意見が見られました。
- 「7kmを利用したが、電動なので坂道がラクラク。タイヤが小さく小回りがきく上、乗り心地も最高だった。大阪や神戸にも来て欲しい。また絶対乗る」
- 「東京観光にきた人におすすめ!キックボード版も期待したい」
- 「とてもスムーズに移動できる。家の近くにあったらヘビーユーザーになりそう」
- 「アプリのインターフェイス、ポートの案内板、自転車のデザイン、全てスタイリッシュで好き!」
- 「移動が楽しい!利用料金も安く、またリピートしたい」
比較的高評価のコメントが写真つきでたくさん挙がっていますが、その一方で、以下のような声も上がっていました。
- 「自転車に荷物をおくカゴが付いていない」
- 「自転車の操作感がピーキーでふらつく」
- 「ブレーキ音が多少気になる」
- 「返却場所にいるが5分ほどアプリに認識されなかった」
まだまだスタートしたばかりのサービスですので、ユーザーから厳しい声もまだ多く見られますが、今後のサービス改善に期待したいです。
国内のシェアリングサイクルサービス
ここまで紹介してきたLUUP以外にも、類似のサービスは数多くあります。ここでは、LUUP以外のシャアサイクルサービス大手5社についてご紹介します。
ドコモバイクシェア
全国820箇所にサイクルポートを構え、8,500台の自転車を用意する、NTTドコモ子会社のシェアサイクルサービスです。ポート検索や電池残量を確認できる公式アプリもあります。
東京都内の他、横浜・川崎・大阪・名古屋・神戸などの大都市圏、大分・奥日光・嬬恋・金沢・奈良・広島・沖縄など、地方都市や観光地でもサービスを展開しています。都心部では、特に渋谷区・港区・新宿区・千代田区で強い印象です。
短期利用では30分ごとに100円の料金で、1日1,500円、月額2,000円の定額プランもあります。 支払い方法は、クレジットカードに加え、d払い、現金、Suicaなどの交通系ICカードにも対応しています。
HELLO CYCLING(ハローサイクリング)
ハローサイクリングは、全国1,000ヵ所のポートと、約10,000台の自転車を擁する、ソフトバンク系列のサービスです。
標準的な利用料金は15分70円、12時間で1,000円ですが、地域によって価格設定が異なるのが特徴です。隣接するエリアから利用料金が異なる自転車が混在することもあります。定額プランはありませんが、1アカウントで4台までレンタル可能です。
都内ではポート数No.1を誇り、特に競合他社が少ない葛飾区・江戸川区・府中市など、東部・西部での利用がおすすめです。その他、青森から福岡・佐賀まで、全国展開されています。
こちらも、クレジットカードに加え、携帯キャリア決済や各種電子マネーで支払い可能です。アカウントの登録は必要ですが、ICカードを登録しておけば、予約することなくICカードをタッチするだけで借りることができます。
ただ、電動アシスト自転車と普通の自転車が混在していますので、注意が必要です。
COGICOGI(コギコギ)
観光地を中心に、シェアサイクルを展開しているサービスです。長期間利用に絞って利用料金が設定され、エリア間の移動も可能となっています。サービスは東京・鎌倉・湘南・大阪・京都・福岡と、実験エリアとして北海道・岩手・福島・奈良・山口にも展開されています。
自転車は黒色のシックで乗りやすいデザインで、電動アシスト自転車のみを取り扱います。
ただ、現時点では駐輪ポートと自転車の台数が他社と比較して圧倒的に少ない上に、料金設定が若干高いのがデメリットですf。
P!PPA(ピッパ)
東京北部で展開されている、株式会社オーシャンブルースマートによるシェアリングサイクルサービスです。
料金設定は30分100円で、延長料金は30分ごとに50円と比較的安価な金額設定となっています。定額プランも1ヵ月・6ヵ月・12ヵ月とあり、それぞれ1,500円、6,000円、10,000円となります。
デイパス料金もあり、24時間300円、72時間800円と、同業他社と比べ圧倒的に安いことが大きな特徴です。アプリもあり利便性も高い一方で、電動アシスト自転車には非対応となります。
まとめ
以上、今回はシェアリングサイクルサービスとしてスタートした「LUUP」についてご紹介しました。スタイリッシュな電動アシスト自転車で、都内でさっそうと楽に移動してみたいですね。また、LUUPが目指す、電動キックボードの実用化に今後も目が離せません。
実は、海外では2017年ごろから急速に電動マイクロモビリティが普及し始めており、特に先進国で電動キックボードが認められていないのは、もう日本のみとなってしまっています。
LUUPでは将来的に電動キックボードのサービス展開を予定していますが、さらなる高齢化社会を見据え、利用する人に合わせて変化するユニバーサルなマイクロモビリティの展開を計画していますので、ぜひ今後も注目して見ていきたいと思います。
【参考元】
なぜLUUPは「街のインフラ」になることができるか|岡井大輝(Luup代表/マイクロモビリティ推進協議会会長)さんのnote
【ベンチャー体験記録】LUUP(電動マイクロモビリティのシェアリング事業)|渡邉 洸(Ko Watanabe)さんのnote